男性が化粧品をつけ出しても気をつけたいシャンプー

デパートの男性化粧品の売り場で、近頃はふつうに男性たちの姿を見かけるようになりました。日本の男性が過度なシャンプーで薄毛を早め、次は化粧品でケアを始めて肌の老化を早めるのかと思うと、残念な気持ちにさせられます。毛穴が大きい分、男性が化粧品でケアなど始めると、あっという間に肌が老けるということを肝に銘じ、「女もすなるスキンケアといふものを男もしてみむとて……」などという気はゆめゆめ起こさないでいきたいものです。クリームくらいつけなさい、などといわれて、つけはじめた男性たちがいます。彼らの肌は、マイクロスコープで診ると、スキンケアを熱心にしてきた女性たちのように、毛穴という毛穴が真っ赤に炎症しています。毛穴の大きい男性の場合、化粧品を短期間、使用しただけでも、大きなダメージになることが、このことからもわかります。その意味でも、水でさっと汚れを落として終わりにする脱・せっけんは、私たちを健康にし、それゆえに、清潔にさえします。あまり神経質にならないほうが子どものためです。ニオイといえば、気になるのは、わきがでしょう。わきがについて説明するには、汗腺の話から始めなければなりません。汗をつくる汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺があります。エクリン腺は全身に分布していて、サラサラの汗を出し、主に体温調節をおこなっています。「汗臭さ」とはふつうこのエクリン腺からの汗をいいます。さらに、やけどに限らず、傷は消毒してはいけないこと、膿が出てきたら、ただ水で洗いながせばいいという、いまでは形成外科の常識になっていることをあの頃、やけどの治療をとおして学んだのです。
たとえば、けがをしたとき、傷口に小さな石ころなどの異物がついていると、細菌が大変な勢いで増殖し、そのまま放置していると、細菌に感染してしまいます。だからといって、傷口を消毒すると、まわりの常在菌や正常な細胞まで殺してしまうために、傷の治りが遅くなります。ですから、消毒をしてはなりません。かわりに、水で異物を洗いながすのです。すると、傷はいち早く治りますし、消毒したときよりも傷口はきれいにふさがります。私の恩師のように、月に1度しか風呂に入らないと、皮脂もほとんど出なくなるので、体臭はかえって少なくなるのです。乾燥、皮脂汚れに効果的なシャンプーを紹介しています。

便や尿も水で全てきれいに

股間も水洗いでOKです。便の中には大腸菌をはじめ、たくさんの菌がいます。が、それらは水で洗うだけでほとんど落とせます。わずかに残るかもしれませんが、一定数を超えなければ感染することはありませんし、そのうち常在菌が駆逐してくれます。便のニオイの元となる腸の悪玉菌も水で流せます。また、膀胱炎や尿道炎などにかかっていれば別ですが、健康であれば尿は無菌ですし、水で洗うだけでなんの不都合もありません。女性の場合は、膀胱炎にかかっていても、いえ、かかっているときだからこそ、せっけんで洗うのはご法度です。せっけんを使うと、常在菌を減らして、免疫力を落とすことになるので、水だけで洗うよう、医師は指導します。女性の場合、生理の日に水だけで洗うことには抵抗があるかもしれません。けれど、皮膚についた血液は水で落ちます。パッドなどを使うので蒸れて、不潔になるのではないかと気になるかもしれません。でも、「高温多湿状態」で増えた雑菌なども血液と同じで、すべて水で洗いながせます。生理中は皮膚も敏感になっていて、刺激を受けやすいのでなおさら、せっけんでは洗うべきではないのです。
とはいえ、あまり気になるようなら、ときどきはせっけんで洗ってもいいでしょう。ただし、せっけんで洗いすぎると、常在菌が減少しますので、かえって不潔になることは考えながら洗ってください。また、最近では多くのトイレの便座に洗浄器がついています。女性の膣の中は、デーデルライン乳酸菌という常在菌によって酸性に保たれ、雑菌がつかないようになっています。ところが、洗浄器のビデで洗うと、デーデルライン乳酸菌が洗いながされてしまい、膣の中が中性に傾きます。そのせいで、雑菌が増殖して、膣炎にかかる女性が増えている、との使いすぎる女性たちに警鐘を鳴らしています。女性ばかりでなく、男性もせっけんなどで洗いすぎると、水虫と同じ白癬菌というカビの一種が股間に感染するインキンタムシになる人が増えるという説もあります。肛門やその一帯は常在菌がつねに「掃除」をしてくれているのでので、病原菌が増えることは通常はありません。入浴時、シャワーの水でていねいに流しておけば、問題はないはずです。中でも、男性は女性に比べてはるかにトラブルが多い。これは、男性の毛穴が大きいからにほかなりません。私の患者さんにも、奥さんから、化粧水くらいつけなさい。

わきがの臭いを抑えるには

いっぽうのアポクリン腺はわきの下、乳首、陰部、耳の中などに分布し、脂質やタンパク質などを多く含む粘りけのある汗を分泌します。わきがの人はこのアポクリン腺が発達していてアポクリン腺から出る汗を菌が分解して、独特のニオイを発生させるのです。このニオイは本来、異性を引きよせるためのフェロモンの役割をしていたと考える人もいます。エクリン腺の汗もアポクリン腺の汗も、また、汗臭さやわきがのニオイの成分自体も水だけで落とせますので、わきの下もせっけんで洗う必要はありません。水でもせっけんでも、洗った直後はにおいませんし、さらに、細菌が繁殖してにおいだすまでの時間にもそれほど違いはありません。せっけんで洗ったからといって、においだすのが遅くなるとか、ニオイがやわらげられるといったことはないのです。わきがのニオイを抑えるには、漬け物の発色剤などとしても使われるミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム)を使う方法があります。ドラッグストアやスーパーで安く売られています。
ミョウバンは水にとけると酸性になるため、細菌の繁殖を抑えるのです。結晶や粉を水に溶かしたものをつけるか、結晶を水につけてわきをこするなどして使ってみてください。

ところで、私は以前、わきがの治療法を研究していたことがあります。その方法というのは、まず、わきがの人のわきの下に抗菌剤をべっとりぬって何時間か放置し、ニオイの元となる菌を殺しておきます。そして、一時的にきれいになったわきの下に、わきがのない人のわきの下から採取した菌を培養して増やして、ぬりつけるのです。これを4~5回くりかえすと、わきがが治りました。完全には治らなかった人もいましたが、少なくとも、ニオイがやわらかくなりました。5人の方に治療をしたところで、研究費が続かなくなり、大変残念でしたが、研究を中断してしまいました。5人の方は、その2~3年後もニオイが気にならない状態だといっていました。しかし、その後ニオイが改善したままなのか、あるいは、少し復活したのかは、残念ながらわかりません。私は、いまでも、この治療方法が一般的になる日がくるだろうと考えていますし、もう一度研究したいと考えています。

汗線を抑えるにはシャンプーを考える

インフルエンザやSARS、ノロウィルスなどが流行しているのなら別ですが、そうでないのなら、水でていねいに洗って、その数を減らせばいいだけの話で、せっけんも必要ないし、ましてや、アルコールで消毒などしていたら、常在菌が弱ってかえって菌がつきやすく、不潔になります。公共施設での消毒液の設置が義務づけられたのは、2009年のことです。このようなことを続けていれば、アルコールに対して耐性を持つ菌が出現しかねませんし、皮膚炎の手の人が増えると思われます。考えただけで恐ろしくなります。ところで、インフルエンザなどが流行しているときには、手洗いとともに、うがいの励行もいわれます。
うがいをした一群と、うがいをしない一群を比較したところ、インフルエンザの罹患率は変わらなかったという調査結果があり、科学的には、うがいにインフルエンザの罹患率は変わらなかったという調査結果があり、科学的には、うがいにインフルエンザを防ぐ効果はないというデータもあります。ただし、空気と一緒に吸いこんで、口や喉にとどまっているウィルスをうがいによって洗いながすことは、医学的なエビデンスはないとはいえ、それなりの予防効果があると思っています。この場合も、うがい薬は使わずに、水でうがいをするすることです。風邪やインフルエンザにかかっている場合は、うがい薬も有効でしょうが、その兆候もないのに、予防のためにと頻繁に薬を使っていれば、口の中は常在菌が減少して、感染しやすくなり、逆に風邪などにかかりやすくなります。ニオイといえば、気になるのは、わきがでしょう。わきがについて説明するには、汗腺の話から始めなければなりません。汗をつくる汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺があります。エクリン腺は全身に分布していて、サラサラの汗を出し、主に体温調節をおこなっています。「汗臭さ」とはふつうこのエクリン腺からの汗をいいます。いっぽうのアポクリン腺はわきの下、乳首、陰部、耳の中などに分布し、脂質やタンパク質などを多く含む粘りけのある汗を分泌します。わきがの人はこのアポクリン腺が発達していてアポクリン腺から出る汗を菌が分解して、独特のニオイを発生させるのです。このニオイは本来、異性を引きよせるためのフェロモンの役割をしていたと考える人もいます。エクリン腺の汗もアポクリン腺の汗も、また、汗臭さやわきがのニオイの成分自体も水だけで落とせます。
することです。風邪やインフルエンザにかかっている場合は、うがい薬も有効でしょうが、その兆候もないのに、予防のためにと頻繁に薬を使っていれば、口の中のに、予防のためにと頻繁に薬を使っていれば、口の中は常在菌が減少して、感染しやすくなり、逆に風邪などにかかりやすくなります。

トイレのあとに清潔に保つには

「清潔さ」をもっとも必要とされているはずの傷口でさえ、水で流すのがいちばんの治療法であり、やけどの患者さんが感染症で生きるか死ぬかの瀬戸際で、もっとも頼りになったのも、生理食塩水という水でした。水の力はそれほどすばらしい「薬」なのです。日常の生活でも、からだを、そして髪を清潔に保ちたかったら、このすばらしい水の力を借りて洗うのがいちばんです。皮膚を乾燥させることもなく、過剰な皮脂分泌によって体臭を強めることも、肌や頭皮を荒らすこともなく、しかも、汚れもニオイもきれいさっぱり洗いながしてくれるのですから。
膀胱炎や尿道炎にかかっているなら別ですが、健康なからだから出てくる尿には菌は含まれていません。無菌なのだから、おしっこが手についても別に洗わなくてもかまいませんが、それではなんとなく気持ちが悪いので、水で洗いながしておくという感じです。
便は尿と違って大腸菌を含んでいますが、大腸菌も水で流れます。下痢をしたら、その便にはふつうよりも毒性の強い菌が含まれていますが、そういった菌もすべて水で流せます。細菌の大きさは1mmの1000分の1~10ほどです。そんなちっぽけな細菌など、流水の水圧を受けたら、ひとたまりもありません。ほとんどが流されてしまいます。たとえ、どこかにひそんでいて、運よく生きのびた細菌がいたとしても、心配は無用です。菌が増殖していくためには、まずは自分たちの「根城」(医学的には「バイオフィルム」といいます)をつくらなければなりません。そして、その根城をつくるには、一般的には10万個以上の菌が必要で、それ以下では、マクロファージやガンマグロブリンといった免疫細胞にやっつけられてしまい、感染することは不可能なのです。この10万個という数字は、毒性の強弱には関係ありません。ほとんどの細菌は毒性が強くても弱くても、10万個なければ根城はつくれず、したがって感染もしません。まれに感染力の強い菌がいますが、それでも100~1000個は必要ですから、水でていねいに洗いながして菌の数さえ減らしておけば、感染力の強い菌がやってきても、感染の心配はないのです。このことは、すでに医学的にも確立された考え方です。外出先から家に帰ったら、まず手をせっけんで洗うこと、学校で習ったかもしれませんが、トイレのあとと同様、せっけんは不要です。水で洗って、細菌の「数」を減らしておけば問題ありません。

最近、病院はもちろん、銀行や市役所や大手スーパーなど公共施設の入り口にアルコールの消毒液が置かれています。これらの建物に入るたびに消毒液でシュッシュッとしていたら、皮膚を傷めるばかりか、常在菌を減らし、そのせいで、得体の知れない菌がいっぱいついて、手は不潔このうえない状態になってしまいます。

やけどを正しい方法で治療するには

健康な皮膚なら、侵入してきた細菌をマクロファージやガンマグロブリンといった免疫機能がやっつけますが、やけどで死んでしまった組織は、そういった防御機能を持たない、まったく無防備な状態にあります。そのような無防備な組織が細菌に感染したら、患者さんは命を落としかねません。感染を防ぐための、生きるか死ぬかの治療をしていたわけです。大学病院ですから、医薬品メーカーがさまざまな新薬を持ってきます。少しでも早く治すために、たくさんの薬の中から、あの薬、この薬と手探りの状態のこともありました。当時は、感染を防ぐために軟膏やクリーム基剤の抗生物質をぬるのが、やけどの標準的な治療法のひとつでした。ところが、どうもおかしいのです。やけどが治りかけてくると、皮膚が死んでとけてしまったように見える毛穴から「皮膚の芽」が出てきます。ます。ところが、教科書どおりに、そこに抗菌剤などのクリームをぬると、なぜかせっかく治りかけてきたやけどの部分がドロドロになってくるのです。ドロドロの正体は、いまにして思えば、クリームという異物を排除しようと、大量に分泌した組織液と死んだ細胞とが混ざったものでした。そこで、生理食塩水で洗うだけにしてみると、どのような最新で、高価な薬をつけるよりも、圧倒的に早く治るのです。生理食塩水とは、体液とほぼ同じ濃度(約0・9%)の食塩水、つまり単なる薄い塩水です。傷口を乾燥させると、細胞が死んでしまいますので、湿らせておかなければなりません。乾燥させないようにクリームや軟膏をつけたほうがいいという説もありましたが、私たちは生理食塩水で傷口を湿布して、乾燥を防ごうというもっとも基本的かつシンプルな治療がいちばんという結果にいきついたわけです。実際、生理食塩水で湿布をすると、傷口がドロドロになることもなく、順調に「皮膚の芽」は育っていき、治りも早くなりました。生理食塩水は、刺激がないので痛みもなく、治療費も格段に安くて、これほどいい治療法はありません。このとき私は、生理食塩水という「という「水」が抗生物質よりも、クリームよりも、やけどの治療に効くことを知りました。もちろん、やけどの治療法は、ケースバイケースですから、塩水だけでは、どうしても不十分ということもあります。重症な感染をおこしてしまった場合には、治るまでの間だけ、抗菌剤の湿布をしたほうがいい場合もあります。しかし、それはやけどの治療としては、感染がひどくなってしまった特別な場合の治療法といえます。

不潔は人を丈夫にする

私が小さい頃、父は東北の小京都といわれる秋田県角館町の町立病院で勤務医をしていました。かなり古くて汚い病院で、幼い頃、私は、患者さんたちのバイ菌が手にも服にもたくさんついていたはずの看護師さんたちに、いつも遊んでもらっていました。母が病院へ私を迎えに行くと、ゲタ箱の前で、患者さん用のスリッパを舐めて遊んでいたのを見て絶叫しそうなほど驚いたといいます。しかし、そういう人間のほうがかえって健康で強くなるようです。おかげさまで私も、子どもの頃からとても丈夫で、これまで体調不良では学校を休んだことも、仕事を休んだこともありません。妻は私とは対照的で、とても清潔好きな母親の元で無菌状態のような環境で育ったせいか、異常なほどのきれい好きです。外から帰ったら手を洗う、なんていう上品な習慣を持たなかった私は、そのままの手で食べものをつまんだりして、そのたびに妻に叱られています。妻は昔から病気がちで、小学生の頃は、喘息のため遠足にも行ったことがなかったそうです。清潔な環境で育てられた人間は、かえってからだが弱くなるというのは本当のように思います。わが娘はというと、これまた異常なほど丈夫で、これまた学校を休んだことがありません。私の仕事の関係で、一家でアメリカで暮らしていたことがあります。妻がいうには、ある日、2歳になるかならないかの娘を託児所へ迎えにいくと、手垢で真っ黒になっているおもちゃをペロペロ舐めて遊んでいたそうです。妻が卒倒しそうになったことはいうまでもありません。清潔すぎる環境は人間を虚弱にします。子どもはある程度、不潔に育てることが重要なのです。このことは、医学的にも説明がつきます。母親の胎内にいるとき、胎児は文字どおりの無菌状態にあり、したがって生まれてすぐは、ほとんど免疫や抗体を持っていません。
産道をとおって産まれてくるときに、無数の大腸菌に感染し、母親の胸に抱かれてそこでもまた細菌に感染して、抗体やら免疫やらを獲得していきます。とくに生後半年頃から3歳頃までは、大変な勢いで抗体を獲得する時期ですので、その時期にはとりわけ、不潔なものにさらされることが大切になります。
ます。不潔なものにふれなければ、十分に抗体を獲得できません。3歳頃までの子どもは、何でも口に入れたがります。口に入れることが必要だからなのです。現代人は不潔なものを目の敵にして、徹底的に排除する傾向にあります。このいきすぎた清潔志向は免疫力を衰えさせ、人を虚弱にします。

皮脂は美肌に大敵

酸化した皮脂はニオイの元になるだけではなく、肌をきたなくします。酸化した皮脂とは、いいかえれば、腐った脂のことです。です。腐った脂は皮膚を刺激して炎症を起こさせ、このことが何度もくりかえされるうちに、皮膚や毛根に慢性的なダメージを与えてしまいます。日本でも、女性は舞踏会などで背中が大きく開いたイブニングドレスを着ますが、貴婦人の背中ほどすべすべで、なめらかで、とても美しいと聞いたことがあります。高貴な女性たちは、せっけんをぬりつけたタオルを斜めにたすき状にして、背中をゴシゴシ洗うようなマネはするものではないと教育されているのだそうです。そのため、背中は、さっとお湯を流して終わりにしていますので、肌が乾燥することも、過剰な皮脂で肌に炎症が起きることもなく、とても美しい肌を保つことができるというわけです。は手術のまえにブラシを使って、手をすみずみまで徹底的に洗ったものです。消毒薬の入ったせっけんと消毒されたブラシを使って3分間洗ってから、別のブラシを使って2~3分間再度洗い、それからさっとすすぐ、と教わっていました。さらに、消毒せっけんを手にぬりつけて終わるという医者もいました。ところが、合計5~6分間かけてきれいに洗っても、毛穴や汗の穴には、かならずバイ菌がひそんでいます。洗っても洗っても、バイ菌をゼロにすることはできません。しかも、このように毎回、徹底的に洗っていると、じきに手がボロボロになります。実際、よく手を洗う医者ほど、決まって手は荒れて皮がむけ、炎症をおこしていました。とくに外科医の手は乾燥して、湿疹ができて、無数の傷ができていました。じつは、外科医にとっては、この傷こそが問題だったのです。傷ができると、そこにバイ菌がいっせいに増殖して、数時間後には傷口をびっしりとバイ菌がおおってしまいます。こうなると、もういくらよく手を洗っても、皮膚の表面ばかりでなく、傷表面には大量の菌が棲みついているので、もはや菌をすべて洗い流すことはできなくなってしまいます。そして、その傷がたとえ目に見えないような小さなものであっても、とくにその傷が指先などにある場合は、ゴム手袋にはいつ穴があくかわからないため、傷が治るまでしばらく手術を休まざるをえなくなってしまいます。
手を清潔にしたい一心で懸命に洗っても、バイ菌をゼロにはできないばかりか、そのせいで、さらに多くの傷ができて、かえってバイ菌が増えてしまい、手術のできない手になってしまうというわけです。つまり、清潔にしようとすればするほど、手はより不潔になっていきます。現在は、長々と、硬いブラシで洗い続けることは、無意味で有害という研究結果をもとに、手に細かい傷をつけてしまうブラシを使う手洗い法はしなくなりました。ふつうにせっけんでさっと洗い、皮膚表面を消毒するだけです。外科医の手洗いの歴史は、完璧な清潔さを求めると、かえって不潔になることを教えてくれています。髪の毛にも、そしてからだにもそれは当てはまります。

乾皮症は水洗いで治る

仙台地区では冬季に65歳以上のじつに95%もの人に老人性乾皮症が見られたそうです。多くの病院では尿素軟膏やステロイド、ヒルドイドクリームなどの外用薬を処方し、それらの薬をつけると、症状は劇的におさまります。いや、おさまったような感じがする、というべきでしょう。ところが、そのような薬をつけても、せっけんで洗っていれば、自家保湿因子は減るいっぽうですから、近いうちに間違いなく再発します。
患者さんが腰のあたりを搔きながら、「この辺がちょっとかゆいんですけど」などと訴えたら、「せっけんと、タオルでこすることをやめれば治ります」というのが私の決まり文句です。よほどひどいとき以外は、薬は出しません。老人性乾皮症の方をそれこそ何十人と診てきましたが、せっけんをやめた方のほぼ全員が、それだけで治ったり、完全に治らないまでも、よくなります。50歳をすぎたら、せっけんでからだを洗わないこと、タオルで皮膚をこすらないこと。このふたつを守ってみてください。自家保湿因子が不足気味の肌にせっけんを使えば、かならずカサカサに乾燥して、かゆくなりますので。
さらにいえば、50歳をすぎていなくても、赤ちゃんから老人まで、男性であれ、女性であれ、せっけんで洗わないにこしたことはありません。若い人は老人とは違って、せっけんで自家保湿因子をとりさっても、すぐにまたつくりだすことができます。そのため、乾皮症になりにくいのでしょうが、せっけんが皮膚を乾燥させていることに変わりはなく、乾燥は皮膚の新陳代謝を低下させるなど、肌への大きなダメージとなります。せっけんやシャンプーは肌の乾燥以外にも、皮脂腺を発達させて、皮脂をジュクジュクと大量に分泌するようになるというワルさをします。からだの皮膚も頭皮と基本的にまったく同じです。毎日、毎日、せっけんで洗って、皮脂を完全に落としてしまう日が続くと、皮脂を補う必要が生じて、皮脂腺が発達し、皮脂の分泌量が増えます。皮脂は必ず酸化します。酸化した脂質こそが不快な体臭の主たる原因ですから、せっけんで洗いつづけると、からだのニオイも強くなるのです。その昔、たまにしか風呂に入れなかった時代の日本人は、狭い家に、2世代、3世代が同居しても、家族の体臭が気になるということはほとんどありませんでした。た。毎日シャワーとせっけんでからだを泡だらけにしてしっかり洗う習慣がある欧米人や、最近の日本人のほうが、体臭がかなりきついのは、皮脂の分泌が多くなっているせいだと思われます。

石鹸を辞めて一番の収穫は肌の乾燥がなくなったこと

毎日診察室で、患者さんと話をするのが私の仕事ですが、8畳ほどのドアも窓も閉め切った診察室に私と患者さん、そして看護師の3人がこもることになります。このような状況で、医師の私が汗の匂いや体臭を発散していたら、患者さんにとっては、拷問のようなもので、大迷惑でしょう。そのため、もしも、診察室に入ってきたときに、ニオイがしたり空気がよどんでいる場合は、ドアを開け放つようにお願いしてありますが、いまのところ、その必要はないようです。理由は、脱・シャンプーと同じです。です。体表温度は34~35度。34~35度の体表へ皮脂も汗も出てきたのですから、同じくらいの温度の「ぬるま水」をかけてやればほとんどは流れおちます。ます。また、皮脂は、ニオイの元となる過酸化脂質などに変わると、ますますぬるま水で洗い流しやすくなります。私が脱・せっけんをするようになって、いちばんの収穫は、肌の乾燥がなくなったことです。カサついていた肌は、ほとんどの部分が、1か月たつかたたないかのうちに、なめらかで、すべすべになりました。もっとも乾燥がひどかったお腹、腰、すねも、3か月後にはガサガサやチクチク、かゆみなどはいっさいなくなりました。以来、冬でさえ、肌の乾きを覚えたことはありません。ふつうに生活している分には、せっけんで洗わなければならないほどの汚れなど、からだにはつきません。せっけんを使う意味も、必要もないのです。げんに、私はこの7年間、ワイシャツの襟などがとくに汚れるというわけでもなくなんの不都合も感じていないどころか、肌の乾燥から解放され、入浴時間は大幅に短縮され、ニオイや汚れもなく、シンプルで、清潔で、快適至極の日々をすごしています。脱・シャンプーを始めたあなた、脱・せっけんにも挑戦してみませんか?お年寄りから、からだがかゆくてしかたがないと、よく相談されます。このような症状は、老人性乾皮症といいます。
皮膚はみずから潤い成分をつくりだしています。これを「自家保湿因子」といいます。ところが、自家保湿因子は加齢とともに減少してきて、それにともない、バリア機能も低下し、バリア機能が低下すれば、肌は乾燥します。
肌が乾燥すると、目には見えないような小さなひび割れができるため、肌に異物が侵入しやすくなります。肌はそれを排除しようと、炎症を起こします。炎症が起きると、肌はかゆくなる、つまりは、これが老人性乾皮症なのです。

せっけん、シャンプーよりも肌の汚れを取りながら健康に保つ水洗いについて紹介しいています