乾皮症は水洗いで治る

仙台地区では冬季に65歳以上のじつに95%もの人に老人性乾皮症が見られたそうです。多くの病院では尿素軟膏やステロイド、ヒルドイドクリームなどの外用薬を処方し、それらの薬をつけると、症状は劇的におさまります。いや、おさまったような感じがする、というべきでしょう。ところが、そのような薬をつけても、せっけんで洗っていれば、自家保湿因子は減るいっぽうですから、近いうちに間違いなく再発します。
患者さんが腰のあたりを搔きながら、「この辺がちょっとかゆいんですけど」などと訴えたら、「せっけんと、タオルでこすることをやめれば治ります」というのが私の決まり文句です。よほどひどいとき以外は、薬は出しません。老人性乾皮症の方をそれこそ何十人と診てきましたが、せっけんをやめた方のほぼ全員が、それだけで治ったり、完全に治らないまでも、よくなります。50歳をすぎたら、せっけんでからだを洗わないこと、タオルで皮膚をこすらないこと。このふたつを守ってみてください。自家保湿因子が不足気味の肌にせっけんを使えば、かならずカサカサに乾燥して、かゆくなりますので。
さらにいえば、50歳をすぎていなくても、赤ちゃんから老人まで、男性であれ、女性であれ、せっけんで洗わないにこしたことはありません。若い人は老人とは違って、せっけんで自家保湿因子をとりさっても、すぐにまたつくりだすことができます。そのため、乾皮症になりにくいのでしょうが、せっけんが皮膚を乾燥させていることに変わりはなく、乾燥は皮膚の新陳代謝を低下させるなど、肌への大きなダメージとなります。せっけんやシャンプーは肌の乾燥以外にも、皮脂腺を発達させて、皮脂をジュクジュクと大量に分泌するようになるというワルさをします。からだの皮膚も頭皮と基本的にまったく同じです。毎日、毎日、せっけんで洗って、皮脂を完全に落としてしまう日が続くと、皮脂を補う必要が生じて、皮脂腺が発達し、皮脂の分泌量が増えます。皮脂は必ず酸化します。酸化した脂質こそが不快な体臭の主たる原因ですから、せっけんで洗いつづけると、からだのニオイも強くなるのです。その昔、たまにしか風呂に入れなかった時代の日本人は、狭い家に、2世代、3世代が同居しても、家族の体臭が気になるということはほとんどありませんでした。た。毎日シャワーとせっけんでからだを泡だらけにしてしっかり洗う習慣がある欧米人や、最近の日本人のほうが、体臭がかなりきついのは、皮脂の分泌が多くなっているせいだと思われます。